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2023.06.14

コラム

信楽焼とは?人々を魅了する素朴な味わい

信楽焼(しがらきやき)は、滋賀県甲賀市信楽を中心に作られる陶器で、日本六古窯のひとつに数えられます。現在では一般にたぬきの置物が著名ですが、元は茶陶の生産から発展していったのでした。今回のコラムでは、信楽焼の歴史や特徴について、ご紹介いたします。

目次
1. 歴史:時代ごとに変わりゆく代表的な特産品
_1-1. はじまり
_1-2. 茶器
_1-3. 大型陶器
_1-4. たぬきの置物
2. 特徴:独特な質感、素朴な味わい
3. おわりに

歴史:時代ごとに変わりゆく代表的な特産品

はじまり

信楽焼が作り始められた時期については、2つの説があります。1つ目は奈良時代。聖武天皇が紫香楽(しがらき)を都として定め、その宮殿に用いた布目瓦をこの地で生成したとされる説。しかしこれを焼成した窯の跡が見つかっていないため、生産開始時期としての根拠は不十分とされています。2つ目は鎌倉時代後期。この頃の窯跡や出土品が発見されているため、鎌倉時代後期のほうが、設立時期という点で妥当であると考えられています。

茶器

室町時代、茶の湯の中心であった京都や奈良から程近く、良い土が採れる信楽には、優秀な陶工が集まり、茶器の生産が活発に行われました。茶道が発展していったこの時代、この立地条件の良さにより、信楽焼は大きく発展することとなったのです。良質な土から作られる質の高い茶器は、江戸時代の徳川幕府にも認められ、献上茶壺の制作を依頼されたほどでした。そしてその後、信楽での献上茶壺の製作は大正時代まで続くこととなったのでした。このように、信楽焼は室町時代より、茶道とともに発展の道を辿って行ったのです。

大型陶器

江戸時代からは、登り窯が登場したことにより大型の陶器作りも盛んに行われました。もとより、信楽で採れる木節粘土、実土粘土、蛙目粘土などを混ぜ合わせた陶土は、腰が強く、水甕や壺などの大型陶器の生産に適したのでした。登り窯の登場は、製品の大量生産を可能とし、この時期の商業の発展と相まって、信楽を陶産地としてさらに名をあげることとさせたのでした。

明治時代には火鉢の生産が始まり、第2次世界大戦後から国内シェアの90%を占めるほどとなりました。耐火性に優れた信楽焼の火鉢は、電気やガスの暖房器具が広まる昭和30年代まで信楽の一大産業として続きました。また、昭和に入ってからは、なまこ釉などの窯変釉薬が用いられるようになりました。

たぬきの置物

今でこそ多くの人々に、「信楽焼=たぬき」のイメージが定着しているものと思いますが、その歴史は比較的浅く、活発に製作が行われたのは昭和の時代になってからのことでした。昭和の初め頃、当時信楽で活動をしていた陶工の藤原銕造(ふじわらてつぞう)がたぬきの置物を製作するようになりました。昭和天皇が信楽を訪問された際に、多数のタヌキの置物を並べ歓迎したところ、これを昭和天皇は非常に気に入られ、「をさなどき あつめしからになつかしも 信楽焼の 狸をみれば」という歌にしたことで、新聞などを通してたぬきの置物が全国に広まったのでした。さらに、信楽焼のたぬきの置物の形には、商売繁盛、金運向上、福を招くなど八相縁起と呼ばれる8つの徳があるということが広まり、現在に至るまで、縁起物としてさらに人気が高まることとなったのでした。

特徴:独特な質感、素朴な味わい

信楽焼は、他の産地のやきものと比べ、仕上がりが決定的に違います。

・白くて小石が多く混じった土肌。
・焼成時にできる緋色の焦げ目。
・緑色や淡黄色をした自然釉。
・長石の粒が溶けてできる乳白色の斑点。

この仕上がりは、琵琶湖の恵みを存分に受けた土によるものです。今から40万年ほど前、現在信楽のある地は琵琶湖の一部でした。ここに土砂や動植物の残骸が堆積し、花崗岩や流紋岩の風化物が流れ込むことによって、やきものに適した粘土質の土壌ができたのでした。この土を、釉薬をかけずにそのまま焼くと、化学反応を起こし、ピンクや緋色のやきものに仕上がるのです。信楽の土の白っぽさと焼き上がりの緋色のコントラストが特徴的なこの風合いを「窯あじ」と呼びます。

このように、土と炎によって生み出される素朴な味わいが、茶の湯の世界での「わび」「さび」、すなわち、物静かで派手さはなく、あっさりとした佇まいの中に、味わい深い美や趣を感じる、ということに通じるところがあり、多くの茶人に愛されたのでした。

おわりに

信楽焼は室町時代以降、茶器からはじまり、大型陶器、たぬきの置物の生産というように、時代とともに大きく発展を遂げていきました。また、琵琶湖の恵みを豊富に受けた土を焼くことでできる、白い土肌に緋色のコントラスト、緑色の自然釉などの仕上がりは、他の産地のやきものとは異なる素朴な味わいで、人々を魅了してきました。

井元産業では、多種多様な日本の陶磁器や焼き物を扱っております。詳しくは「取引実績・商品」ページをご覧ください。

(参考)
信楽町観光協会
信楽陶器工業協同組合
やきもの総合サイト

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