News

お知らせ・コラム

2023.04.06

コラム

常滑焼とは?特徴的な名産品をご紹介

常滑の町並み「土管坂」

常滑焼の生産地として知られる、常滑市は、愛知県の知多半島に位置します。平安時代、知多半島には約2000~3000基もの窯があり、日本六古窯の中でも最大の生産地でした。その理由は、知多半島には丘陵地が広がり、窯を築くのに適した斜面が多いためでした。また知多半島で採取できる土は鉄分が多く、低い温度でも焼締まる性質であるため、焼き物の生産が活発に行われたのでした。室町時代頃には、知多半島各地の窯が常滑に集約されるようになり、その後現在に至るまで、日本を代表する焼き物の生産地へと発展していったのです。
約1000年続く常滑焼には、いくつか特徴的な名産品があります。今回のコラムでは、その名産品について、常滑焼の特徴とともにご紹介いたします。

目次
1. 大型の壺や甕(かめ)
2. 朱泥急須
3. 盆栽鉢
4. まねき猫
5. 建築陶器
6. 最後に

大型の壺や甕(かめ)

古くからある常滑焼の特徴的な名産品といえば、大きな壺や甕です。鎌倉時代から室町時代にかけて、常滑で生産された焼き物の多くは大型の壺や甕が占めていました。中には高さ50cmを超えるものもありましたが、こんなにも大きなものを大量に作ることが可能となった背景には、窯の作りが関係していました。鎌倉時代以前は、主に地下式の穴窯が用いられましたが、鎌倉時代以降からは、半地上式の大窯が普及していきました。これにより、大量生産が可能となり、常滑港を出た常滑焼は、北は東北、南は九州まで、日本各地に広がっていったのでした。現代においても、大型の壺や甕の生産は続いており、常滑焼を象徴する名産品となっています。

朱泥急須

常滑焼の第2の特徴として、朱泥が挙げられます。特に、朱泥で作られた急須は国内シェアナンバーワンとなる人気を博しており、朱泥製品は常滑焼の代名詞ともいえるほどです。朱泥製品は、その名の通り赤褐色な独特の色合いが印象的です。これは、知多半島で採れる朱泥には酸化鉄を多く含んでおり、酸化焼成すると赤く発色するという特徴を利用しています。高い耐水性を持ち、水を吸わないため、茶器に適しています。また、急須の内側は多孔質のため、お茶の渋みや苦みが低減されてまろやかで美味しくする効果もあることも、人気の理由となりました。
朱泥は、酸化焼成で赤く発色させた後、還元焼成させると黒く発色します(黒泥)。その特性を生かし、一部を黒く発色させるなど、そのデザイン性も持ち味です。

盆栽鉢

明治時代末期から、常滑焼の盆栽鉢も常滑の特産品として加わりました。盆栽の熱が高まった明治時代中期から大正時代にかけて、常滑で生産された盆栽鉢が多数使用されるようになりました。その結果、「大正常(たいしょうとこ)」と言われる銘品とまでなったのでした。現在、欧米を始め広く世界ブランドとしてTOKONAMEブランドの盆栽鉢が知られています。

まねき猫

昭和初期頃から、常滑焼産地のキャラクターとしてまねき猫が生産されるようになりました。戦後から、二等身の猫に小判を持たせるスタイルが一般化して、現在では海外からの訪日観光客からも人気の商品です。手作りの多様な招き猫も作られるようになっていきました。今や常滑のシンボルキャラクターとなり、常滑の町を歩くと、至る所で個性豊かなまねき猫を目にすることができます。

建築陶器

近代化が進むにつれ、建築関係での陶器の需要が増えていきました。鉄道の線路下に埋設する水路として、頑丈な素材で作られた常滑産の土管が重宝されたり、レンガタイルが帝国ホテルに採用されたりなど、建築の様々な場面に使用されるようになりました。

最後に

常滑焼には、様々な特徴的な名産品があることをご紹介いたしました。平安時代から続く焼き物作りで、その地の独特な粘土や土地の特性がうまく生かされたことで、現在に至るまで全国的に人気な商品を作り続けることができたのでした。

井元産業では、常滑焼のほかにも、多種多様な日本の陶磁器や焼き物を扱っております。詳しくは「取引実績・商品」ページをご覧ください。

ALL

Category

Archive