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2026.01.29

コラム

耐熱皿と普通の皿の違いとは?素材と製法から分かる器の基礎知識

目次
1. 耐熱皿と普通の皿が混同されやすい理由
2. 素材(原料)から見る決定的な違い
3. 耐熱皿の製造 ― 耐熱性を最優先した工程
4. 普通の皿の製造 ― 使いやすさと美しさを重視した工程
5. まとめ:用途に合った器選びのために

耐熱皿と普通の皿が混同されやすい理由

近年、オーブン料理や電子レンジ調理が一般家庭でも当たり前になり、見た目は一般的な食器と変わらない「耐熱皿」を目にする機会が増えています。そのため、耐熱皿と普通の陶磁器皿の違いが分かりにくく、「厚みがあれば大丈夫」「陶器なら耐熱なのでは」といった誤解も少なくありません。しかし実際には、両者は見た目以上に、素材と作られる目的や考え方が大きく異なっています。その違いを正しく理解することは、安全性だけでなく、器を長く使うためにも重要です。

素材(原料)から見る決定的な違い

耐熱皿に使われる素材は、一般的な陶磁器とは明確に異なります。最大の特徴は、耐熱性があるペタライトやスポジュメンといったリチウム系鉱物を主原料として配合している点です。これらの鉱物は熱膨張が極めて小さく、急激な温度変化でも体積変化が起こりにくいため、オーブンから取り出しても割れにくいという特性を持ちます。さらに、耐火性を持つアルミナやシリカ、耐火粘土などを組み合わせることで、強度と耐久性を高めています。耐熱皿の素材構成は、食器というよりも工業用耐熱材料に近い考え方で設計されていると言えるでしょう。

一方、普通の皿に使われる陶器や磁器は、土の風合いや白さ、成形のしやすさ、美観を重視した原料構成です。陶器では陶土を中心に長石や石英を加え、磁器ではカオリン、長石、石英を主成分とします。これらの素材は日常使いに十分な強度を持つ一方で、耐熱皿ほど熱膨張を抑える設計にはなっていません。そのため、急激な加熱や冷却が加わると、ひび割れや破損が起こりやすくなります。

耐熱皿の製造 ― 耐熱性を最優先した工程

耐熱皿の製造工程では、「割れにくさ」が最優先されます。まず原料の段階で、リチウム系鉱物を精密に配合し、熱膨張を最小限に抑える素地を作ります。この配合比率は非常に繊細で、わずかな違いが耐熱性能に大きく影響します。成形では鋳込み成形やプレス成形が多く、厚みを均一に保つことが重要視されます。厚みのムラは内部応力の原因となり、加熱時の破損リスクを高めるためです。

乾燥工程では、一般的な食器よりも時間をかけ、内部に歪みや応力を残さないよう慎重に管理されます。焼成においても、1,200〜1,300度前後の高温で、温度の上昇・冷却をゆっくり行います。さらに、釉薬についても素地と同じ低膨張特性を持つものが使われ、素地と釉薬の膨張率を厳密に合わせることで、加熱時の剥離や貫入を防いでいます。

普通の皿の製造 ― 使いやすさと美しさを重視した工程

普通の皿の製造では、耐熱性能よりも、使い心地やデザイン性、量産性が重視されます。ろくろ成形や型打ち成形など多様な方法が用いられ、形状や表情の自由度が高いことが特徴です。乾燥や焼成の工程も、耐熱皿ほど厳密な温度管理は求められず、釉薬についても色合いや質感の表現が優先されます。

陶器では素焼きと本焼きの二度焼きが行われ、温かみのある風合いが生まれます。磁器では高温焼成によって緻密で硬い素地が形成され、薄く軽い仕上がりが可能になります。これらの製法は、日常の配膳や盛り付けに最適化されたものであり、必ずしも直火やオーブンでの使用を前提としたものではありません。

まとめ:用途に合った器選びのために

耐熱皿と普通の皿の違いは、単なる厚みや見た目ではなく、素材と使われ方を前提にした設計そのものにあります。耐熱皿はリチウム系鉱物を用い、熱膨張を抑えることで加熱調理に耐えられる設計がなされています。一方、普通の皿は土や釉薬の美しさ、軽さ、使いやすさを重視して作られており、急激な温度変化には向いていません。調理用なのか、盛り付け用なのかという用途を意識して器を選ぶことが、安全で快適な食卓につながります。実際に耐熱皿を購入したい時には、「オーブン可」「直火可」などの表記があるか確認して購入いただけるとよいでしょう。

井元産業では、耐熱皿を含む日本各地の陶磁器・和食器・キッチン雑貨など、幅広く取り扱っています。取扱商品は取引商品・実績 ページをご覧ください。

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