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2025.08.21

コラム

陶磁器の製造工程を知る:土から器になるまで

 

普段の食卓に並ぶ茶碗やお皿。手になじみ、口あたりよく、料理を引き立てるその存在は、実は多くの工程と職人の手を経て作られています。今回は、そんな「土から器になるまで」の陶磁器製造の基本工程をご紹介します。

目次
1. 土づくり
2. 成形
3. 乾燥
4. 素焼き
5. 釉薬掛け(うわぐすり)
6. 本焼き
7. 完成・検品
8. おわりに:土に命を吹き込むということ

土づくり

陶磁器の命は「土」にあります。器の種類によって使われる土は異なり、磁器にはカオリン(陶石を砕いた粉)を、陶器には粘土質の陶土を使用します。土は不純物を取り除き、必要に応じて水分量や粘り気を調整。使いやすい状態になるまで熟成させます。

成形

形を作る工程にはいくつかの方法があります。

ろくろ成形:伝統的な方法で、回転するろくろの上で手を使って器を形作ります。手仕事の妙が光る工程です。

鋳込み成形:石膏型に泥状の土を流し込んで成形する方法。複雑な形や量産に向いています。

たたら成形:土を板状に伸ばして型に合わせて切り出す方法。プレートなど平らな器に適しています。

乾燥

成形された器は、一度しっかりと乾燥させます。乾燥が不十分だと、次の焼成工程で割れたり歪んだりしてしまいます。最初の形がしっかり定まる大事なステップです。

素焼き

乾燥後、器は800℃〜900℃程度で「素焼き」されます。この段階で器は少し硬くなり、水を吸う性質があります。素焼きによって器の強度が増し、次の装飾や釉薬掛けが可能になります。

釉薬掛け(うわぐすり)

釉薬とは、ガラス質のコーティングのようなもの。器に光沢や色、耐水性を与える重要な工程です。浸す、かける、吹きつけるなど、様々な技法で釉薬が施されます。釉薬の種類や厚さ、掛け方によって、焼き上がりの表情が大きく変わります。

本焼き

本焼きでは、窯の中で器が1,200℃〜1,300℃の高温で焼かれます。ここで釉薬は溶けてガラス状に変化し、器の最終的な形と質感が決まります。焼成の温度や時間、炎のまわり方がわずかに違うだけでも、仕上がりが変わるため、職人の経験と感覚がものを言います。

完成・検品

焼き上がった器は、冷却後に一つひとつ手で検品され、完成します。焼成中の歪みやヒビ、釉薬のムラなどをチェックし、商品として問題ないかどうかを丁寧に見極めます。

土に命を吹き込むということ

陶磁器の製造は、自然素材と人の手、そして火の力が織りなす総合芸術です。一つの器が完成するまでには、いくつもの工程と時間、そして何より「使う人を思う心」が込められています。
次に器を手に取ったとき、ほんの少しその背景に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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