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2024.12.04
コラム
貫入とは?自然の力でできた美しいひび模様
「貫入(かんにゅう)」のある陶器をご覧になったことはありますか? その美しいひび模様と独特の風情は、陶器好きにはたまらない魅力の一つです。今回は、この貫入について探ってみましょう。
そもそも貫入とは
貫入とは、陶器が冷却される際に生じる釉薬のひび模様のことを指します。これは、素地と釉薬の収縮率の違いによって生じた表面的のみのひびで、陶器そのものの強度には影響ありません。また、意図的に器を装飾するために貫入を利用する技術も発達しています。貫入は陶器の個性や美しさを引き立てるものであり、一見すると似ていますが、割れや傷とは本質的に異なります。
貫入のメカニズム
貫入の基本原理は熱膨張とその反動です。物質は熱を加えると膨張し、冷やすと収縮する性質があります。陶器の素地と釉薬もこの特性を持っていますが、その収縮率は異なります。
窯から出た陶器は外気に晒され、急激に温度が下がります。このとき、素地と釉薬は共に縮みますが、基本的には釉薬のほうが土よりも大きく縮みます。素地と釉薬が密着しているため、その圧力により釉薬の表面に亀裂が生じます。これが貫入です。
その魅力
どんな器でも貫入が入るわけではありません。土や釉薬の種類によって貫入の入り方が異なります。また、同じ土、同じ釉薬、同じ窯で焼かれたものでも、窯の中の位置や温度の微妙な違いによって貫入が入ったり入らなかったりします。
貫入は、人間がコントロールできない自然の力によって生まれる美しさを持っています。このような自然の変化や個性は、工業製品にはない魅力です。陶器の表現の一つとして貫入を意図的に作り出す作家もいます。また、陶器を使い込むうちに自然に貫入が生じることもあり、この経年変化も陶器の楽しみの一つです。
経年変化
貫入のある陶器は、使い込むうちにさらに新しい模様や色が生まれることがあります。例えば、温かい料理や食洗器の使用等による温度の影響で再度貫入が現れたり、また貫入に水分や油分が入り込んで色合いが変化したりするからです。この経年変化によって、陶器は使い手との共有の物語を刻んでいく印象を与え、その風合いと共に愛着が深まります。使い方によって生じる貫入の変化は、陶器の成長過程とも言えます。
まとめ
貫入は、陶器の素地と釉薬の収縮率の違いによって生じる独特のひび模様です。冷却時に釉薬が縮むことで生じるこの模様は、陶器の美しさや個性を引き立てる要素となります。貫入の入り方は、焼成時の条件や使用環境によって異なるため、一つ一つが唯一無二の表情を持ちます。貫入は、陶器を使う楽しみを増す要素の一つであり、工業製品にはない自然の美しさを使う人に感じさせてくれるのです。
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