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2024.11.28
コラム
江戸切子とは?繊細で華やかな伝統工芸品
東京発祥の、日本の伝統工芸品である江戸切子(えどきりこ)。酒器やグラスを代表するガラス製品の表面をカットして施された繊細で華やかな模様は、人々を魅了し国内外で人気を博しています。今回のコラムでは、江戸切子がどのようにして作られているのか、代表される紋様について、誕生から発展までの歴史をご紹介いたします。
江戸切子の製作工程
江戸切子とは、ガラスの表面を切りつけて模様を付ける、つまりはカットガラスのことです。その作り方は下記のような流れです。
1. 割り出し:下書き。カットをするグラスや酒器などの本体に、マーカーなどで目安となる印(線)をつける。
2. 粗摺り:大まかなデザインを決める。ダイヤモンドホイール(回転式の砥石)に水をつけながらガラスを削る。
3. 二番・三番掛け:より細かく滑らかなカットを施す。ダイヤモンドホイールに水をつけながら行う。
4. 石掛け:カット面をさらに滑らかに仕上げる。人工砥石や天然石に水をつけながら加工する。
5. 磨き:カット面の光沢を出す。木版や樹脂系のパッド等に水溶きした研磨剤をつけて磨く。
6. バフ掛け:磨きの仕上げ。フェルトや綿など繊維の回転盤に研磨剤を水溶きした物をつけ、磨きの仕上げをする。
上記のような方法で作られたカットガラスが全て江戸切子かというと、そうではありません。①ガラスである、②手作業によって作られる、③制作時に主に回転道具を使用する、④東京都江東区を中心とした関東一円で生産される、といった全ての条件を満たすカットガラスが江戸切子と呼ばれます。
伝統的な紋様
下記は、代表される江戸切子の伝統的な紋様です。着物にも見られる身近な和の模様を切子にも採用されているのが特徴です。なお、これらは江戸切子の紋様の内のごく一部で、職人によってはオリジナルの紋様をもっていることもあります。
・魚子(ななこ):細かいカットの交差。魚卵の連なりに見える紋様。
・麻の葉:切子の交差が麻の葉の形に見える紋様。
・矢来(やらい):矢のようにふる雨または竹垣の交差模様に見える紋様。
・六角籠目:竹籠の六角網目を連続させたパターンで魔除けとして使われた紋様。
・菊繋ぎ:細かいカットの交差が不老不死を意味する菊花に見える紋様。
江戸切子の歴史
今では日本および東京都の伝統工芸品に登録されている江戸切子ですが、その始まりは江戸時代後期の東京(江戸)に遡ります。当時日本橋でビードロ屋を営んでいた加賀屋久兵衛が、金剛砂を使ってガラスの表面に彫刻をしたのが始まりと言われています。しかし、江戸時代にどのような道具が使われ、どのように製作されていたかという文献が残っておらず。その後、明治時代にイギリスからカットグラスの指導者エマニュエル・ホープトマンを招き、現代に伝わる江戸切子の伝統的技法が確立されたのでした。大正時代になると、カットグラスに使われるガラス素材の研究や、研磨の技法が開発されるなどで、江戸切子の品質はさらに向上していきました。このように、江戸時代後期から現在まで途切れることなく手作業で生産され続けてきた江戸切子は、1985年に東京都指定伝統工芸品に指定され、2002年には経済産業大臣指定伝統的工芸品として認定されました。
最後に
江戸時代から現代まで、手作業での生産が続けられている江戸切子。手作業だからこそのその繊細さや細部までこだわり抜かれた輝きに魅了されます。
井元産業でお取り扱いしています江戸切子については、下記のページをご覧ください。
また、井元産業では様々な種類のキッチン用品、テーブルウェア、日用雑貨を取り扱っています。詳しくは、「取引商品・実績」のページをご覧ください。
(参照)
江戸切子協同組合
江戸切子の店華硝
すみだ江戸切子館
Wikipedia
KOGEI JAPAN
東京都産業労働局
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