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2024.04.02

コラム

日本の伝統工芸品「漆器」とは?(後編)


漆器は、日本を代表する伝統工芸品のひとつで、漆を塗り重ねた製品のことを指します。その美しさや使い心地から、海外でも人気が高く、”japan”の呼び名で時代とともに数多くの漆器が輸出されてきました。
前回に引き続き、今回も漆器についてご紹介していきます。今回は、漆器にはどのような製品があるのか、漆器の加工方法や有名な漆器の産地などについて見ていきましょう。

目次(後編)
前編はこちら
4. 漆器製品
_4-1. 漆器にはどのような製品がある?
_4-2. 漆と素地の相性
_4-3. 合成樹脂でできた漆器
5. 漆器ができるまで
6. 代表的な漆器の産地
7. 最後に

漆器製品

漆器にはどのような製品がある?

前編では、漆とはどのようなものなのか、採取方法や特徴などについてご紹介いたしました。では、漆を使った製品、すなわち漆器には、どのようなものがあるのでしょうか。
漆器とひとことで言っても、多種多様な製品があります。多くの人がイメージする代表的な漆器といえば、木製のお椀やお盆といったところでしょうか。他にも、箸、スプーン、重箱、くし、手持ち鏡、机、たんすなどの漆器製品もあります。また、仏像や武器の装飾にも漆が使われることもありました。最近では、漆の施されたUSBメモリーや名刺入れ、ボールペンなども製造されています。


     

漆と素地の相性

このように、漆は塗料ですので、言ってしまえば漆を塗ればどのような製品でも漆器となり得ます。とはいえ、どのような素材も漆を塗るのに適しているというわけではなく、相性があります。表面がツルツルしているものよりも、木や紙のように、どちらかと言えば表面がざらざらしているものや、液体が染み込みやすいものは、やはり漆を塗布しやすく相性がいい素地と言えます。布や皮、石も、漆が浸透できる小さな穴がたくさん空いているため、漆と相性の良い素地です。金属やガラスのように、表面がツルツルしていて、液が浸透しないものは、普通に塗って乾かしても剥げてしまいます。そのため、漆を焼き付ける「高温乾燥法」が使われます。また、やすりなどを使って表面を荒らして漆が定着しやすくさせる方法もあります。相性がよくない素地でも、工夫を加えることで漆の塗布が可能となり、漆器製品の幅が広がっています。

合成樹脂でできた漆器

最近は、素地に合成樹脂(プラスチック)や、合成樹脂に木粉を混ぜた木質を使い、塗料に化学塗料または化学塗料を混ぜた漆を使った漆器も多くあります。合成樹脂製のものは金型に材料を入れ固めて作るため、木製の製品に比べ自在な形のものが作れたり、安く大量に生産したりすることができます。一方で、天然木で作られ、天然の漆が塗られた漆器よりも、保温性や断熱性、修繕のしやすさには劣ります。
合成樹脂の製品も、天然の素材を使った漆器も、それぞれに違ったメリットがあります。用途に合ったものを選んで、上手に使い分ければ良いと思います。

漆器ができるまで

天然の漆を使用した漆器ができるまでには、長い道のりとなります。例えば、漆器のお椀は下記のようにして作られます。
◎木地作り→下塗り→中塗り・上塗り→加飾

1. 木地作り
まずは、漆を塗る本体(木地)を作ります。天然木でつくる木地の場合、半年から1年ほどかけて乾燥させた木を、ロクロで回しながら削ったり、裁断したものを組み立てたりして製作します。

2. 下塗り
木地を強くするために、刷毛やヘラを使って生漆(採取した漆をろ過したもので、顔料などが混ざっていない状態のもの)を木地全体に塗り、乾燥させて研ぎます。製品の強度や品質を左右する、とても大切な工程となります。

3. 中塗り・上塗り
塗り、乾燥、研ぎを何度も繰り返します。均一の厚さに仕上げるには、熟練の技が必要となります。塗り重ねる回数は、製品の種類や職人のこだわりによりまちまちです。漆は、一般的にものを乾かす時とは異なり、湿度が高いと早く乾き、湿度が低いとゆっくりと乾きます。湿度70~85%、温度20~30℃の環境が乾燥に適しています。乾燥の速度によって、色の出方が異なるため、温度や湿度の管理は重要となります。下塗りから上塗りまでは3ヶ月以上の期間がかかります。

4. 加飾
最後に、漆器の装飾を行います(加飾)。その方法は様々です。筆に漆を含ませて模様を描き、そこに金粉や銀粉を付ける「蒔絵」。刃物で絵柄を彫り、そこに金箔や金粉などを漆で接着させる「沈金」。細かく削った光沢のある貝殻を使い、模様を付ける「螺鈿(らでん)」。布の表面にインキを載せて刷り込む「スクリーン印刷」。他にも様々な方法があります。

代表的な漆器の産地

漆器は、下記のとおり日本の各地に産地があります。

・津軽塗(青森県)
・川連漆器(秋田県)
・鳴子漆器(宮城県)
・会津塗(福島県)
・江戸漆器(東京都)
・木曽漆器(長野県)
・村上堆朱(新潟県)
・高岡漆器(富山県)
・輪島塗(石川県)
・山中漆器(石川県)
・金沢漆器(石川賢)
・越前漆器(福井県)
・紀州漆器(和歌山県)
・香川漆器(香川県)
・宮崎漆器(宮崎県)

東北や北陸に有名な産地が集まっていますが、北から南まで、各地で生産されていることがわかりますね。産地によっても様々な特色がありますが、これについてはまたの機会にご紹介できればと思います。

最後に

日本を代表する工芸品である漆器。日本各地で生産されており、その種類は多種多様です。伝統的な方法で作られる天然木・天然漆の漆器は、貴重な原料を使い、完成まで長い時間や手間をかけて作られます。近年では、安く大量に作ることができる合成樹脂を使った漆器も多く生産されており、現代の私たちの暮らしに合うよう時代とともに発展し続けています。
今回のコラムでは、前編・後編にわたり、漆器についてご紹介いたしました。少しでも漆器について知っていただけたら、また興味を持っていいただけたら幸いです。

井元産業では、漆器はもちろん、他にも様々な種類の陶磁器やキッチン用品、日用雑貨を取り扱っています。
詳しくは、「取引商品・実績」のページをご覧ください。

(参照)
「漆」の世界:農林水産省:農林水産省 (maff.go.jp)
日本漆器協同組合連合会 (shikki.or.jp)
ワゴコロ – 日本の伝統文化や職人の魅力を伝えるWebメディア (wa-gokoro.jp)

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