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2024.02.02

コラム

土鍋の使い方・お手入れガイド

寒さが厳しくなる季節、あたたかい鍋料理が恋しくなりますよね。そんな冬の食卓に欠かせないのが「土鍋」です。土鍋は、金属製の鍋に比べて蓄熱性が高く、保温力に優れているうえ、光熱費を抑えられるエコな調理器具としても人気があります。
一方で、使い方を誤るとひび割れや焦げ、ニオイ移りなどのトラブルが起きることも。そこで本コラムでは、土鍋の基本的な使い方から、目止めの方法やってはいけないNG行為困ったときのお手入れ法まで、土鍋を長く使うためのコツをわかりやすく解説します。是非ご家庭でお役立ていただき、お持ちの土鍋を長くご愛用いただければと思います。

目次
1. 土鍋を使う前に:目止めのやり方
2. やってはいけない!土鍋のNG行為
3. 土鍋のトラブル対処法Q&A
4. 土鍋ごはんの魅力と炊き方
5. さいごに

土鍋を使う前に:目止めのやり方

「新しく土鍋を買ったから、今夜は鍋にしよう…!」そんな方、少しお待ちください。土鍋や陶器を使う前には「目止め」が必要ということはご存じでしょうか?目止めをすることで、これから使う土鍋が長持ちします。

陶器には目に見えない細かな気孔(目)がたくさんあり、これらをデンプンで塞ぐ(止める)ことを目止めといいます。目止めをしていない土鍋に水を入れておくと、鍋底から水が染み出してしまいます。水漏れのする土鍋を使うと、土鍋に染み込んだだし汁が焦げ付いてシミになってしまったり、ひび割れの原因にもなったりします。

【目止めの方法】
1. 鍋の8分目まで水を入れる。
2. ごはん、小麦粉、片栗粉などのでんぷん質(大さじ1程度)を加えよく混ぜる。
3. 弱火で20分ほど煮る。
4. 火を止めてそのまま冷ます。
5. 常温になったら水を捨ててよく洗い流す。
6. 完全に乾かす。

目止めは一度行えば長持ちしやすくなります。面倒に感じるかもしれませんが、土鍋を長く使いたいなら必須の工程です。

やってはいけない!土鍋のNG行為

金属性の鍋と比べて、使用中に注意していただきたいポイントがいくつかあります。以下のような行為は、土鍋を傷める原因になります。

・鍋が冷えていない状態で水につける
急激な温度変化が苦手です。熱い鍋を急に冷たい水で冷やしてしまうと、割れの原因となります。

・残った食材や汁をそのままにしておく
水分を吸収しやすいので、残った食材や汁をそのままにしてしまうとシミやニオイの原因となります。

・揚げ物や炒め物に使う
水分を含みやすいので、油を入れると油を吸ってしまいます。そこへ熱を加えてしまうと発火し、火事になる危険があるため、揚げ物や炒め物は絶対にNGです。

・空焚きする
中に何も入っていない状態で火にかけると、急激な温度変化が起こり、鍋が割れる原因となります。

・金属たわしでこする
表面に傷がつき、目止めしたでんぷん質の膜がはがれてしまいます。

・つけ置き洗いをする
シミやニオイの原因となります。使用後は冷めてからなるべくすぐに洗うようにしましょう。また、洗剤も少なめの使用が望ましいです。

・濡れたまま収納する
乾燥させてから保管しないと、カビが生える原因となります。

土鍋のトラブル対処法Q&A

大切に扱っていても、使っているうちに少しずつ劣化します。困ったときには下記を参考にしてみてください。

Q. 土鍋がカビ臭い
A. たっぷりの水に酢を大さじ2~3杯入れて10分ほど煮ると改善されます。

Q. ひびが入った
A. おかゆ、残りご飯、小麦粉を水に溶いたものなど、デンプン質となるものを炊いて再度目止めしてみてください。

Q. 匂いが取れない
A. たっぷりの水に茶殻をひとつかみ入れて火にかけ10分ほど煮ると消臭効果があります。

Q. 焦げてしまった
A. 重曹を入れた水を煮立たせ、冷ましてから磨くと焦げつきがきれいに落ちます。固いタワシでのごしごし洗いは、傷がつくので厳禁。

土鍋ごはんの魅力と炊き方

鍋料理の他にも、ごはんを炊くときにも土鍋が活躍します。土鍋で炊くごはんは、遠赤外線効果でじっくりと熱が伝わるため、芯までふっくら、お米が一粒一粒立ってもっちり、香りよく絶品です。2合程度であれば、20分ほどで炊きあがります。(浸水時間、蒸らし時間は除く。)
炊飯専用の土鍋もありますが、鍋料理用の平たい土鍋でも炊飯できますので、是非お試しください。

【材料】
・米 2合
・水 約450ml(新米や好みにより調整)

【炊き方手順】
1. お米を洗い、30分~1時間しっかり浸水
 → 土鍋炊きでは浸水が非常に重要。芯まで水分を吸わせましょう。

2. 水を切り、土鍋に米と水を入れる
 → 蓋をしっかり閉めることで蒸気が逃げにくくなります。

3. 中火で約10分加熱
 → 蓋の穴から勢いよく蒸気が出始めたら沸騰のサインです。

4. 弱火にして5〜6分加熱
 → 音が静かになったら水分が飛んでいます。

5. 火を止めて10〜15分蒸らす(蓋を取らずに我慢!)
 → この蒸らしで、甘みと香りが引き立ちます。

6. しゃもじで底から混ぜて完成!
 → 軽く混ぜて空気を入れると、よりふっくらします。

【おいしく炊くためのコツ】
・火加減と時間は鍋や米によって微調整が必要です。
・吹きこぼれが気になる場合は、鍋敷きにのせて余熱で炊く方法もおすすめ。
・おこげが好きな方は、最後に10秒だけ強火にしても◎。

さいごに

土鍋の有名な産地は、三重県四日市市の焼き物である萬古焼(万古焼)です。近年は、原料であるペタライトが希少となってきて、生産数の減少や価格の高騰につながってしまっています。ペタライトの入手方法や、ペタライトを使用しない土鍋づくりが今後の課題となっています。

冬の食卓の味方である土鍋。これから購入される方も、すでに愛用の土鍋がある方も、今回ご紹介しました土鍋の使い方のコツを参考に、長く大切に使い続けていただければ幸いです。

井元産業では様々な種類の食器を取り扱っております。興味を持たれた方はぜひ取引実績のページもご確認ください。また、食器やキッチン用品、刃物、農具・工具、雑貨などの輸出・輸入事業に関するお問い合わせについては、お問い合わせページよりご連絡ください。個人への小売・販売は行っておりませんので、あらかじめご了承くださいませ。

(参考)
日本陶磁器卸商業協同組合連合会
NHK おはBiz

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